スリランカ日記~津波の後 (2005/2)

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 一年ぶりのスリランカ、空港の到着ロビーから一歩出ると一年前と変わらない、生ぬるい風で、すぐに肌がべたついてきた。北スマトラの地震、津波の二ヵ月後で、今回の旅行は変更、延期が予想されたが、現地の友人とコンタクトが取れ、ツアー会社からのオッケーが出たことで実施された。日本での報道はかなり悲惨なもので、また、疫病などの危険から渡航を薦めていないと言った状態のため参加者からは本当に行くの?、何か予防接種をしたほうがいいの?など、不安の声が多く聞こえた。 四回目のスリランカ、一年ぶり、しかし二ヶ月前の津波で、変わってしまったのだろうか、友人たちはみんな元気だろうか、思い出の建物、きれいなあの風景は以前のままだろうか、そんなことを考えながら、車は暗闇の中をフルスピードでコロンボから南に向かった。
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まだ寝たりないのだが、旅先の興奮で、明るくなると同時に目が覚めた。 ホテルの庭から見る、ヒッカドゥアのメインポイントは以前と変わらずアウトからブレイクしレギュラー、グーフィーともインサイドまで白いスープがつながっていて、すでに数人のサーファーがライディングを重ねている。

ホテルの一階、二階はメンテナンス中、やはり津波で二階まで波をかぶったそうだ。 これでもヒッカドゥアはまだ災害の小さい方らしい、幸い亡くなった人もなくけが人だけで済んだが、すぐ近くの地区では数千人の人が亡くなったらしい。 ヒッカドゥアの北、数キロ先、津波で電車が飲まれた現場では、傷だらけになった車両が撤去されず停まっていて、多くの人が亡くなった悲しみを感じさせた。 また、昨年のトリップの思いで場所だった、通称マリーナポイントでは壁や建物が崩壊し荒れ果てた状態となっていた。

2004年2月

2004年2月

2005年2月

2005年2月

 また、ゴールの町の周辺では、真っ二つになった船が放置してあったり、触れば崩れてしまいそうな家があったりと被害の傷跡がいたるところに見られていた。 家を失った人たちは、支給されたテントで不自由な生活していて、国からの援助が少ないと嘆いていた。聞いたところによると、一家族、一ヶ月、五千円だそうだ。 多くの国から援助が出ているが、なかなか被災地の人間に届かないと言っていた。

実際、被災現場では多くのボランティアの方たちが、復旧作業に追われていて、半壊した建物の補修をしたり、全壊した建物の残骸を撤去したりしていた。 海岸沿いは荒れ果てているものの、いったん山側に入ると津波のあったことを忘れさせるかのように、被害はなく今までと変わらない風景が続いていて、コロンボの市内なども同様で、南側の海岸地域一帯に津波の被害が出でいる。
私の滞在した、ヒッカドゥアからマータラまでは南東部になるので、小さかったようで、南東部にあるサーフポイント、アルガンベイなどは海岸にあった建物が何一つ残されていないらしい。 津波は三回、続いたらしく、今まで、スリランカの人たちは津波の知識がほとんど無かったので、いったい何事かわからずに一回目の1,2メートルの津波の後、大きく潮が引いてビーチが二百メートルぐらい広くなったときに潮が上がってきれいに姿を見せたさんご礁や魚たちをのんびり見物していた人もいたらしい。 二回目の津波が一番大きく、海岸線が白く高くなりそのまま水の山が建物や椰子の木や車や列車を飲み込んだようだ。 実際に目の当たりにした人たちの話はとてもリアルで、恐怖心を覚えさせ、津波の怖さを感じさせた。
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話が津波のことばかりになってしまうので、そろそろ波の話に移りたいと思う。 一日目は、ヒッカドゥアのメインポイントで終日のんびり過ごした。 波のサイズは頭から頭ちょっとで、レフトもライトもショルダーが張っていい波だった。 昼過ぎからはサイドショアが強くなり、ランチタイム、夕方にはまた面がよくなって暗くなるまで楽しめた。 二日目、マータラに近いシークレットスポットまで、朝五時おきで、一時間半かけてやっと到着。到着と日の出がジャストタイミングで、ビーチ沿、椰子の木の陰から顔を出した朝日の美しさは早起きしたかいがあった。 このポイントはまだメジャーじゃないポイント、真ん中にカレントがあり右からライト、左からレフトがわれている。

海底はシャローなリーフなので、多少注意が必要、レフトはチューブにもなっていい波。この日はうねりがきれいに入っていないので、いまいちショルダーの続かない波で残念だった。朝一が終わったところで、メリッサヘ、このポイントはロングボードの雑誌などで、椰子の木をバックにノーズライディングなんていい感じの写真を見かけたらたぶんここ。 湾になった海岸の奥で割れるライトは厚いブレイクですが、乗り継いでいくとインサイドまでロングライドできる波。 ロングボードやファンボード、小波用の幅広のボードを持って行けばかなり楽しめるポイントだ。しかしこの日はいまいちサイズが無くノーサーフで次の目的地、カバラナへ。 カバラナはこの辺ではいつも一番サイズのあるポイントで、ポイントの沖に大きな岩が出てい るので、それが目印。 海底のリーフでうねりがシフトしサイズアップしてブレイクし、レフト方向はショルダーが張りリップアクションに適した波になります。レギュラーはショルダーが短い波だがたまに掘れて張った波もある。 この日サイズはセットで頭半ぐらい、かなりファンウエーブで、レフトはリップしやすいいい波だった。 ポイント正面のホテルは津波のため改修中、そこそこいいホテルなので改修後はまた、おいしい料理を味わえることとだろう。 三日目は朝からカバラナへ、前日より若干サイズダウンしたものの、まだセットは頭オーバーで十分に楽しめた。
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 四日目、天気は快晴、今日はローカルサーファーの為にコンテストを開催。 メーカー、ショップ、旅行会社から協賛を得て、かなり立派なコンテストが行われた。
エントリー費は無料、全員に参加賞をプレゼント、上位入賞者にはサーフボード、賞金も出て、かなり盛り上がった。 当日、ヒッカドゥアのメインポイントは頭オーバーの面ツル、しかもフルムーンでかなりいい波の中、約四十名の選手がエントリー、アルガンベイから八時間かけてきた選手もいてさながら第一回スリランカ選手権のようだった。
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五日目、朝一でカバラナへサイズがダウンして、胸から肩、どのポイントもサイズダウンしているようで、ここでこのサイズでは仕方ない。 昼ごろから風が吹いてきたので、メリッサヘ移動、サイズは膝~腰ながらきれいなライトブレイクでサーフィン、幅広のファンボードや小波用のシャロットで楽しくサーフィンできた。

六日目、今日は波も無いので、ヒッカドゥアでファンサーフ波のサイズは腰~胸ぐらい 昼前から風が入ったので、午後はノーサーフだった。

七日目、朝からメリッサまでロングドライブ、波も小さいので、今日は一日中メリッサでまったり。 二ラウンドをこなし昼過ぎにお腹がすいたので、ヒッカドゥアに帰ってきた。
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八日目いよいよ最終日、この日はとうとう波のサイズも落ちて腰ぐらい、朝一でヒッカドゥアでサーフ、昼過ぎにもう一ラウンド。夕方には空港へ出発。

全体的に去年のほうが波がコンスタントにあった。 ほとんど頭前後の日が多かった。 しかし、今年は津波の影響で、ヒッカドゥア以外のポイントではほとんどサーファーを見なかった。 ヒッカドゥアでも日本人は数名、ヨーロッパから数人、イスラエルから数人、といった程。 車で、ほかのポイントへ行けば誰も乗らない波が割れているだけ、混雑とは無縁だった。

そういえばメリッサで、日本人の女の子三人組がいて津波の当日も海に入っていたそうだ。 無論、無事だったわけで、当日の様子を聞いたので、お伝えしよう。 メリッサでは津波は一発だけだったそうで、パドルして沖に向かいアウトで波を待っていると急に流れが渦を巻いて海面がざわついてきたそうだ。
沖から波じゃなくて山のような高くなった海面(三mぐらい)が押し寄せてきて、ボードの下をその山が通って行き、そのままジャングルに向かっていったそうだ。 しばらく海はざわついてパドルもできない状態、パドルして岸に上がろうとすると水はにごってゴミだらけ、やっとのことで岸に上がったら海岸沿いは破壊されていたそうだ。 スリランカの海岸沿いでは海岸の向きや地形的なものの影響で、被害の大きさが違ったようだ。 離れた北スマトラから押し寄せた津波はいろいろな影響で、思いもよらない被害をインド洋沿岸にあたえた。 自然がもたらす災害は、いくら科学が進歩しても人間の力で止めることは出来ないのだろうか。 千年に一度あるかないかと言われるこの災害で、多くの尊い命が失われた。 心からご冥福をお祈りいたします。
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 五日目、朝一でカバラナへサイズがダウンして、胸から肩、どのポイントもサイズダウンしているようで、ここでこのサイズでは仕方ない。 昼ごろから風が吹いてきたので、メリッサヘ移動、サイズは膝~腰ながらきれいなライトブレイクでサーフィン、幅広のファンボードや小波用のシャロットで楽しくサーフィンできた。

六日目、今日は波も無いので、ヒッカドゥアでファンサーフ波のサイズは腰~胸ぐらい 昼前から風が入ったので、午後はノーサーフだった。

七日目、朝からメリッサまでロングドライブ、波も小さいので、今日は一日中メリッサでまったり。 二ラウンドをこなし昼過ぎにお腹がすいたので、ヒッカドゥアに帰ってきた。
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 僕らサーファーは波を 求めて旅をする。
あるときは冒険家並みに、あるときは輸入業者並みに旅をする。 求めているものは波なのだが、少しでもその国の習慣や、地球環境のことなどを 、これから考えたいと思わせてくれる旅だった。

これからもいい旅していい波に乗りましょう。